2000.1.21

ついに念願のホームページを開設することができました。1/14に初めての子供も産まれ、忙しくなりそうな2000年です。簡単に自己紹介しておきますと、私はとある公的病院精神科に勤務している30歳代の精神科医です。精神薬理学で学位を取ったので、一応薬が専門ということになりますが、ほんとは記憶、学習機能と神経伝達物質の関連に興味があります。日常の業務の中で常々思うのは、精神科治療は医師一人ではできない、ということです。医師-看護スタッフ-患者-家族-地域がうまくチームを作らないとなんもできない、そういう科なのだと思います。そのわりにはみんなで話し合う機会(しかも本音で)はとっても少ないと思います。施設のわくを越えてみんなで話し合う機会となると、形式的な連絡会や、学会、患者会などその施設のメンツをしょったような場しかなく、まず本音はでてこないように思われます。そんなわけで、気軽にみんなが言いたいことを所属施設や上司を気にせず言える場を作ろう、と思いたちました。もちろん患者さんやその家族の方の参加も大歓迎です。そんな趣旨に賛同してくれるみなさんによってこのホームページが盛り上がることを楽しみにしています。


2000.2.1

開設して約10日になりますが、みなさんの書き込みが少ないのでいささか残念です。設定したトピックがやや難しかったので、みんな引いてしまったのでしょうか。だれにばれるわけじゃなし、気軽に書き込んでいただいてかまわないんですよ、本当に。もちろんハンドルネームでいいんですよ。そのためのインターネットなんですから。日頃のうっぷんを存分にはらしていただければそれでいいんです。この間テレビ局の方が病院に取材にきたんですが、精神科医療というものがいかに誤解されているのかよくわかりました。拘束衣は使われているか、とか、各病室はカメラで監視されているかだの、興奮患者や処遇困難患者はすぐに電気をかけられるのかなど・・・ここは刑務所じゃない(今時の刑務所は拘束衣もカメラももちろんないけど)、と言いたくなることばかり聞かれた。いかに精神科医療が一般の人にとってブラックボックスかということだろうけど、あまりになさけない。こんな業界に誰がした、と本気で思う。どこの国でも精神病院は歓迎されない施設ではあるだろうけど、日本ほどネガティブかつダークなイメージでとらえられている国は少なくとも先進国ではないと思う。「精神病院にはいるくらいなら死んだほうがまし」と言う患者さんが大勢いるけれど、これが偽らざる世の中一般の反応なんだろうと思う。患者さん一人一人のプライバシーはもちろん大切だけれども、もう少しひらかれた医療かつ現代的、科学的な医療を業界関係者一人一人が目指す必要があるのでは、と思うのです。みなさんどう思われますか?ご意見はぜひDiscussion Forumに投稿してください。お待ちしてます(^-^)


2000.2.18

最近病院によくいろんな名目の監査がくる。いちいち看護記録とカルテを照らし合わせて、看護記録にある指示がカルテにないだの、その反対だの、ごたくをならべられる。それじゃなくたって精神科は一般科に対して医者の数が少ないのにそんな重箱の隅をつつくようなこと毎日やっていられるか、と言いたい。そりゃ記録は大事だろうけど、そのために患者診る時間が減ったら本末転倒もいいところ。午前は診療、午後は研究なんていってたのは遠い昔のお話。今時の精神科医は書類と事務的な手続きに追われてそんな暇はありません。患者入院させるたびに大量の書類がついてまわる科なんて精神科しかないだろう。ほんとにばかばかしいとおもいませんか。そりゃ患者の人権を守るための精神保健福祉法も大切だろうけど、書類を作りさえすれば法が遵守されているということになるんだろうか。書類を出しさえすればいいということに大切な問題がすり替えられているのではないのだろうかと思うのです。行政も書類の重箱をつついて、外国や銀行に金をばらまいている暇があったら社会復帰施設をもっと建てるなり、世の中の役に立つことをもっとやるべきじゃないんだろうか。みなさんの熱いご意見をお待ちしております。


2000.6.1

個人的にいろいろ忙しくて、前回からだいぶ間があいてしまいました。最近バスハイジャックやら新潟監禁事件の公判やらと、社会的事件と精神科関連の話題がいやに豊富です。精神鑑定が必要であるか否かとか責任能力云々といったこと、それにまつわる警察の対応のまずさなんかもマスコミには受けているようですね。ワイドショーだのニュース番組にどこそこ大学の精神科教授だの助教授だの開業医だのが出てきて得意げにしゃべっていることも気になります。人ごとながら、そんなにテレビばっかり出て本業は大丈夫なんだろうかとか、そんなに推測でしゃべっていいんだろうかと心配になってしまいます。私の雑感として、まず新潟の事件の場合、発見の時点で保健所の職員と精神科医がいて警察の応援を頼んだものの断られて、柏崎のその精神科医の勤務している病院に何とか連れ帰って入院となったようですが、ここに2つの問題が隠れていると思います。まず、保健所の職員の通報で警察が協力しなかったこと。警察官の仕事には「精神障害者の保護」が明記されています。精神科医が帯同していたうえでの要請ですから、これは明らかに職務怠慢です。次の問題は、(おそらく)本人の同意が無いのに何らかの方法で鎮静して精神病院に入院させてしまったことで、これはニュースとかでは指摘されていませんが、明らかに事件のあった時点では精神保健福祉法違反です。この場合の正しい手続きは、居合わせた保健所職員または精神科医の要請で警察官が保護し、24条通報での精神病院の受診、もしくは県への鑑定命令の申請に基づく23条診察による精神病院の受診ということになりますが、今回はいずれの手続きも踏んでいないようです。今年の4月以降、おそらくこういった事件への対策として移送による入院というのが新しくできたようですが、実際に運用しているという話は聞いたことが無く、実状は??です。バスジャック事件の犯人は、インターネット上の情報では、人格障害という病名での某国立病院への入院だそうですが、もし本当に人格障害だとすれば、おそらく責任能力は減免されないのではないでしょうか(私は司法精神医学の専門ではないのでよくわかりませんが)。全く個人的な意見ですが、報道されている言動からは何となく分裂病のような感じがします。もし分裂病で病的体験に対する行動化であるならば精神耗弱状態ということで、たぶん責任能力は大幅に減免されるのでしょう。今後の鑑定の成り行きが待たれます。ここのところ人格障害による事件がずいぶん増えているような気がします。割合から考えれば分裂病の人よりずっと多い確率で人格障害の方が事件、事故を引き起こしているのではないでしょうか。これからおそらく人格障害という病名が社会で大きくクローズアップされて問題視されてくるのではないかと思います。長くなったので今日はこれくらいにしておきます。それではみなさんのご感想をお待ちしています。


2000.8.11

今日は薬の話です。精神科の治療といえばまず「飲み薬」です。精神科の患者さんは総合病院では薬局の人泣かせで知られております。なぜなら、種類が多くて、数も多くて、細かい量の粉薬の指示の人が多くて、薬局でこの薬はいらないとかもっとほしいとかクレームを付ける人が多いからです。なんでこんなに種類が多いんでしょう?それはずばり、特効薬がないからです。特効薬があれば、それを飲めばみんな治ってしまいますから、そんなに種類はいらないわけです。特効薬がある結核なんてせいぜい3-4種類です(最近は特効薬の効かないのが出てきていることが問題になっていますが・・・)。現在精神科で主に処方される薬は、抗精神病薬、抗不安薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、睡眠導入剤です。これらはいずれも脳内の神経伝達物質の働きを調節する薬です。抗精神病薬なら主にドーパミン、抗不安薬はGABAやセロトニン、抗てんかん薬や睡眠導入剤はGABA、抗うつ薬はノルアドレナリンやセロトニンです。主に、と始めに書いたところがみそで、各々の薬によって配合が違います。たとえばある薬はドーパミンとセロトニンに6:4ぐらいに作用したり、ある薬は純粋にほとんどドーパミンにしか作用しなかったり・・と薬によって作用する割合がいろいろです。精神科医は自らの経験と勘を頼りに薬を選んでいくわけですが、恐ろしいことにドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質の人間の脳、特に感情や情動、学習に関した、いわゆる精神活動にたいする役割というのは本当はよくわかっていないのです。たまたま昔実験的にドーパミンに作用しドーパミンの働きを押さえる薬を使ったところ抗精神病作用(幻覚や妄想に対する作用)があったから、ドーパミンは幻覚や妄想に関係しているに違いない、といった偶然の発見から精神薬理の研究はスタートしているのです。1例として、抗精神病薬として最も有名なクロルプロマジンはアポロ計画の人工冬眠の研究から生まれた薬だそうです。そのドーパミンにしてもいくつものサブタイプがあり(いまのところ1-5まで)、各々の働きが全く違いますが、まだ働きがよくわかっていないタイプもあります。セロトニン、GABAについても同様です。しかも恐ろしいことに、これらの神経伝達物質の間には相互作用があります。各々の伝達物質のサブタイプの間にも相互作用があります。神経伝達物質の精神作用の解明が遅れているのは、このように迷路のようにおたがいの伝達物質の作用が入り組んで脳の働きが維持されていることが原因です。あと、動物実験から精神活動に関する研究をするのが困難と行った側面もあります(動物は「幻聴が聞こえる」とか教えてくれませんから・・)。うつ病の患者さんが、「薬のわかる本」で調べたらてんかんの薬を飲まされていてびっくりした。説明しない医者がけしからん、などという話が先日新聞の投書欄にありましたが、精神科の薬に関してはどれが抗精神病薬で、どれが抗不安薬で、抗てんかん薬で、と明確に位置づけることはこれだけいろいろの薬が氾濫している現状では不可能で、各々のカテゴリーはかなりあいまいだといえると思います。つまり抗精神病作用のある抗うつ薬や、抗うつ作用のある抗精神病薬が平気で存在しているのです。その辺のことをもっと患者さんに説明しないと誤解を招いてしまうことになるのでしょうが、「あなたの飲んでいる薬が実はどうして効くのかはよくわかっていないんです」ともいえないので難しい問題だと思います。


2001.1.23


 久しぶりのupです。なぜこんなにあいてしまったかというと、個人的に忙しかったのと、いろんな方面から内容に関するご意見をちょうだいした(^^)ためです。
 前置はこれくらいにして、最近世間をにぎわしている朝倉病院の問題から、事件になる度に繰り返される精神科医療に対する締め付けと、現実と解離した理想論の先行が懸念されます。
 精神病院の話の前に、一般病院それもいわゆる老人病院についてです。
 これらの病院は精神科病床ではありませんから、全く精神保健福祉法の適用を受けません。すなわち、拘束を行う際も患者本人と病院、本人の同意能力が疑わしい場合には家族と病院の契約一つで自由になされることになります。
 ちなみに、精神科病床では精神保健福祉法の適用を受けるため、拘束が必要か否かの精神保健指定医による診察、拘束に関する本人および保護者への告知、最低24hに1回以上の診察および拘束に関する理由等のカルテ記載などが求められます(精神保健福祉法に定められていることなので、違反すると刑事罰の対象になり得ます)。精神科病床を持つ朝倉病院では、これらの手続きを怠ったために今問題になっているわけです。
 ところが、精神科病床でない一般病床である老人病院では、「適正な医療の遂行と安全確保のため」という名目で、同意を得ずとも病院側の一方的な判断で拘束し、事後承諾というところも珍しくはないようです。仮に家族もしくは本人と病院の間で、拘束をしたことに関して何らかのトラブルに発展した場合でも、病院側が人道上の責任を問われることはあっても、違法ではないため、民事で問われることはあっても、よほど目に余らなければ、刑事罰には問われることはまず無いと思われます。従って、老人病院と呼ばれる病院の多くで身体拘束、IVH(中心静脈栄養)管理が漫然と行われているという実体があります。
 もちろん、理想の医療を目指して、いたずらに利益追求に走らず、多くの看護者を配置し、人権に関しての勉強もして取り組んでいる病院もたくさんあります。しかし、昨今どこの病院も経営は苦しく、限られた人数しか看護者を配置できない、介助で食事を食べさせるより手も掛からず、誤嚥等事故のおそれも少なく、管理料も取れてもうかるという理由から、規模の大小はあれ寝たきり患者へのIVH管理とそれにともなう身体拘束は定着しているようにも思われます。
 長期の拘束や点滴管理は、特に老人の場合には、元々歩けていた人でもわずかな期間で廃用性筋萎縮を引き起こし、歩行不能になります。歩行不能、すなわち寝たきり患者を病院がつくりだしているともいえます。ところが、介護保険の導入以後、寝たきりであるということが家族にとって以前より抵抗無く受け入れられるようになってきている傾向があります。なぜかというと、寝たきりになると介護度は上がり、給付金額が増えます。施設への入所を望んでいる家族の場合には、介護度の上昇により入所措置が容易に受けられるようになる etc.の理由からです。
 おかしいと思いませんか?国の制度が寝たきりの老人を増やし、そこが精神病床であるか否かで身体拘束の手続きや扱いが異るなんて。極端な話、一つの病院に精神科病床と一般病床の両方があった場合、病床によって身体拘束の手続きが違うことになるわけです(現実に精神科を持つ総合病院の多くがそうした矛盾を抱えています)。
 身体拘束にまつわるこうした問題は、精神病院=収容所、そこでは精神病患者の人権がないがしろにされているに違いない、という一般的印象と、たまに報道されるとんでもない(=一般的でない)精神病院の事件が、「精神科医療は信用がおけないので規制しよう」という世論になり、矛盾だらけの法律を次々に生み出していると考えられます。精神科医療だけが人権云々で規制されて、手続きがどんどん繁雑化していく(手続きがややこしくなっているだけで隔離・拘束そのものは、現場ではある程度必然的なものなので実はあまり減っていないのでは?と思います)背景として、日本では精神科医および精神科医療従事者が他科のそれに比べて一段低くみられている、という偏見も無関係ではないと思います(それは被害妄想だ、という方もあるかもしれないが、どこでも総合病院ではまず精神科に発言権はありません)。現実には、私が知る限り、一般的な精神病院より、一般的な老人病院の方に問題があるように思われるのです。でも老人病院の人権問題なんて、ついぞ聞いたことがありません。現行の精神保健指定医は精神科医でないとなれません。拘束指定医みたいなすべての科の医師を対象とした資格と研修が本当は必要なんだろうと私は思います。でもそんな制度ができたら、朝倉病院のような病院が全国で山のように摘発されて(前に述べたように老人病院で拘束はごく一般的なことです)、老人病院が無くなって、行く先のない(施設にも、自宅にも)難民老人がたくさん出てくるのでは?という懸念もあります。
 なんにしろ、国は現実に見合った、規制だけを念頭に置くのではなく、本質的な改革につながるような法律をきちんと整備する必要があると思います。
 長くなりましたので、これくらいにします。なんかまとまりのない文章になってしまいました(^Q^)。


2001.6.30

 約半年ぶりのupです。前回の拘束にまつわるお話に関して意見を寄せてくれた皆様に感謝いたします。
 今回は池田小の事件を受けて、触法精神病患者の取り扱い方に関する私見です(あくまで私見なので、誤解なさらないように)。
 まず、現行の措置入院についてです。措置入院の基準は自傷、他害のおそれがある精神障害者となっています。どの程度を持って自傷他害のおそれがあると判断するか、現実にはかなり難しいものです。実際の措置鑑定や精神科救急の場面でもかなり判断に迷う例を皆体験しています。自傷や他害があってもそれが家庭内であったり、保護者が比較的しっかりしていると思われる場合には医療保護入院になることもあります。2名の精神保健指定医が措置鑑定しますが、意見が合わないこともあります。要措置になっても病名が違うなんていうこともあります。外国人の場合にはほとんどの場合保護者となりうる存在がないため、要入院と判断された場合は措置入院となります。措置入院となって入院した場合でも、措置解除に関してはあくまで精神症状を基準に自傷他害のおそれがないとその病院の1人の指定医が判断した時点で解除となるため、措置入院時に犯した他害の程度は基本的には問われません。このように、措置入院は2人の指定医の診察を経るにしても、かなり判断する人によって違うこと、措置解除についてははっきり言うと病院の都合によってなんとでもなることから、触法患者に適用するにはかなり無理がある制度だと思います。もし現行の措置入院制度を骨子に触法患者もあつかうとするならば(前に法相がそんなことをいってましたが)、少なくとも措置解除に関してはその病院の医師でない2人の指定医によってなされるべきだとおもいます(入院時と同じように)。そこでもし2人の指定医の意見が合わなかったならば措置継続にすべきであると思います。これは触法患者のみならずすべての措置患者に当てはめてもいいのでは、と個人的には思いますが、自治体によっては指定医の確保に苦労しているようですので、そうすんなりとは受け入れられないでしょう。何にしろ、現行の措置入院制度は触法患者の社会的隔離には向いていないので、それを社会が精神科医療の一環として求めるなら「保安入院」制度のような別な制度が触法患者については必要といえるでしょう。
 次に触法病棟の必要性についてです。私の病院にも触法患者はいますが(それもかなり・・・)、それ専用の病棟というわけではなく、普通の?精神病の方も混じっています。触法患者の多い男子の慢性病棟では、背中にもんもんしょっている方も多く、服役を繰り返している方も多いことから、一種独特の雰囲気があります。ちょっとか弱い人はすぐパシリにされてしまいます。そのような環境では普通の精神病の方は気の毒で、やはり専門の触法病棟が各自治体に1つずつは必要なのでは、と思います。その病棟を法務省管轄にするかは難しいところですが、費用は国費でまかなわれるべきであると思います。
 保安入院制度についてです。まず、どの程度で「触法患者」とするかの問題があります。厳格に言えば、受診時尿中覚醒剤反応が陽性だった覚醒剤精神病の人などは全て触法患者ということになってしまいます。まずこの枠組みを司法の側で決めてもらう必要があります。次に保安入院制度の危険性についてです。保安入院では司法の側が入院期間を決めるわけですから、たとえ精神症状が良くなっても漫然と入院生活を送らねばならないことになります。例えば、入院期間10年と裁判所で判決を受け、入院し、1年で精神病症状が寛解したら、後の9年間は何となく入院し続けることになります。これは当該患者にとっても病院にとっても不幸です。良くなった場合の司法当局監視下での仮退院制度などが絶対に必要だと思います。次に、入院期間の決定についてですが、治療に関しては素人の司法当局がそのようなものを決めることができるのでしょうか?。他害の程度に応じて、例えばその事例が起訴されて有罪と確定した場合の予想される収監日数と同様とか、にするのでしょうか?。さらにそこに心神耗弱の程度云々といった司法的判断を加えて決めるのでしょうか?。私には法律家に保安入院期間が本当に決められるのか、かなり疑問ですし、もし入院その期間に対して患者側が不服を申し立てた場合、どうするのでしょうか?。当然控訴制度のようなものも必要でしょう。日本の司法当局は判断が一般に欧米より遅いので、入院期間が決定されるのに何年もかかるということになってしまったらそれもまた患者にとっても病院にとっても不幸だと思います。
 これらを考えあわせると、私個人としては、保安入院制度を安易につくるより、現行の措置入院制度の、特に措置解除に関する用件をきちんと法改正し、安易に病院の都合などで措置解除されないようにすること、そして重大触法患者の措置入院は基本的に入院期間や金銭的に左右されない国の施設にさせること、とすればいいと思います。もし当該触法患者が措置解除されたとしたら、その後の社会的隔離が必要かの判断は司法当局がその時点で行い、場合によっては医療刑務所で加療を受けつつ服役ということがあってもいいかと思います。かなり大胆な意見かもしれませんが、みなさんいかがでしょうか?